宛陵寺本尊「薬師如来」について

    西暦650年に玄奘三蔵が漢訳した『薬師瑠璃光如来本願功徳経』によりますと、「薬師如来は東方浄瑠璃浄土の教主で、菩薩の時に十二の大願を発し、この世間における衆生の疾病を治癒して寿命を延べ、災禍を消去し、衣食などを満足せしめ、更に、仏行を行じて、この上ないお悟りを人々に振り向けんと誓い、仏と成った」と説かれています。また眩しいくらいの瑠璃光を放って、人々の心苦を救うとされています。無明の病を直す法薬を与える医薬の仏として、如来には珍しく現世利益信仰を集めたのです。

薬師如来の縁日は毎月八日です。薬師如来の徳を講讃する説法が行われた為「お薬師講」といわれました。宛陵寺では明治大正の時代から、毎月八日に、この縁日法要を営んでおります。現代では「八日講」と呼ばれています。

阿弥陀如来の「西方極楽浄土」は有名ですが、実は薬師如来の「東方浄瑠璃浄土」もあるのです。「浄土」とは仏教における概念で、清浄な世界を指します。『心地観経』には「心清浄なるが故に世界清浄なり、心雑穢なるが故に世界雑穢なり」とあるように、世間の清浄であることは自己の心によるのです。

 

  薬師如来の持っておられる法薬は、私達のその心に効能があるようです。

体の病気は致し方無いとしても、その体の病気によって、心まで病めば益々辛くなります。

薬師如来をいつも心に念じ、心の平穏につとめましょう。いつも温かく見護って下さっています。